こだわりは「オリジナル」。
お菓子の作り方はレシピ通りに作るのではなく、作り方を変えている。
「実験です。科学実験みたい。生地が膨らむ膨らまんとか、ふんわりしっとりのどちらになるとか。温度管理とか」
お菓子作りは実験のよう。専門学校は出ていない。だから一つ一つ実際に作って調べる。
まずは本で見て作ってみて、そこからいろんなアレンジを加えていく。調合していって完成へ。
「習ってないので、正解がわからない。食べたらおいしいがきっと正解なんやろうなと思って、自分や家族がおいしいと思ったらそれを信じています」
「お客さんから「食べたらすごく幸せな気持ちになるんです」と言われたことがあって、直接感想を言ってくれるのは本当にうれしい」「お客さんのためのケーキ作りは、私のことも幸せにしてくれています」
パティシエさんが作るお菓子ではないけど、気持ちのこもったお菓子は幸せを生む。
お菓子作りの実験も必要な過程。ここの作り方を別の作り方にした方がおいしい。材料はこっちを使うよりも別のものを使った方がふわっとする。このお菓子は何日か置いた方がおいしく食べられる。何度も実験を重ねて幸せの味を生み出す。
「小さいころから好きやったことはずっと好き」
小学生のころからお菓子を作り続けたことで作り方や材料の引き出しも増えて、アレンジができるようになった。
一度、滋賀県に住んでいた。
「高知に帰りたい」
滋賀県は都会で、知り合いもいなかった。子どもが増えたことで、「子育てをするのであればやはり地元がいい」と思うように。旦那さんの反対はなかったけど、仕事の都合上帰れないかもしれない。とりあえず相談することになった。すると三人目が生まれるというタイミングもあり、帰れるようになった。あわせて高知の仕事にも空きがあり、「もう行くしかないやん」。
タイミングの良さ。
「風とお菓子と」ができる時もタイミングでできた今があった。
「帰ってきたときに緑にびっくりしました」
高校卒業まで住んでいた地元。見慣れたはずだった自然の緑に感動した。子どももすごくのびのびしていた。地域の方や知り合いも近くにいることから余裕ができた。
「やりたいこともやってみようかな」
ここで「風とお菓子と」に繋がる。
人気はロールケーキ。季節に合わせてロールケーキに入るフルーツが変わる。
いちごにみかんにももにシャインマスカット。
「生地がおいしくてすごくすき。なんかもっちりしちゅう」
生地がおいしいと人気。そんな生地にもアレンジが加わっている。食べ比べをしたらもちっとしてしっとりしている。
これからも「細く長く」。お店のオープンが月一回になっても、来てくれるお客さんが一人でもいるならずっとやっていきたい。お菓子作りは癒し。自分がしんどかったらおいしいものはできない。楽しい、作りたい、喜んでもらいたい。その時においしいものができる。
お店は2024年4月から不定期で月1回程度の営業に変わっていて、生ケーキやドーナツ、時々パフェなども販売している。
営業の日は限られているけど、その分お客さんに出す幸せの味がこもっている。食べたいと思うお客さんに届きますように。
「風とお菓子と」(黒潮町佐賀2417-18)
営業日は不定期で月1回程度。オープンは14時から。整理券は13時45分から取得可能。インスタグラムで事前にチェック。コーヒーやラテ等ドリンクのテイクアウトも行っている。
Text Aoi Hashimoto