「例えば、
私が食べて、旦那さんが食べて、
「おいしいな」とか「こんなものにしたいな」
っていうものをお店で出して。
それが「おいしいね」って思ってもらえたら、
なんだか共有ができているような気がして
嬉しいですね」
ティグレ、ブールドネージュ、
キャラメルアーモンドサブレ。
ミルフィーユ、ショート、カヌレ。
フランス菓子店に並んでいるような
美しく、静かなお菓子たちが並ぶ「雨と光」。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-sweets_s.jpg)
おいしいお菓子がたくさん。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-3sweets_s.jpg)
上から時計回りに
苺ショート、苺のミルフィーユ、苺のタルト。
(※取材撮影時の内容。季節によって変わります)
でも、卓也さんにも、ゆいさんにも
その道での経験はない。
「本当に”好きの延長”っていう。
ただただ自分たちの生活の一部から
延びていったような」
誕生日などのお祝いごと、
「これ食べたい」という家族の声。
それに応えて作っていたゆいさんのお菓子たち。
「コーヒーもそう。
カフェで働いてたとかもないんですけど、
旦那さんがコーヒーが好きで。
私はじめはブラックが飲めなかったんですけど、
一緒にいるようになってから
そのおいしさがわかったというか。
それまではあま~いのとか、カフェオレとか。
でも、今はもうそっちが飲めなくなって。
豆の苦みとか酸味とか、
いろんな味がわかるように」
「友だちにレシピを教えてもらったりしながら
色々見つつ聞きつつで、織り交ぜながら。
「こっちがいいかな?」
「いや、こっちがいいかな?」で」
卓也さん、ゆいさんそれぞれの好き、
2人の「良いよね」が
「雨と光」という形になっている。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-juice.jpg)
ハーブや自家製シロップを使用したソーダなど。
この日は「フランボワーズのソーダ」。
「好き」が表現されているのは、音楽にも。
落ち着いた店内で
いつも”穏やか"に流れているサウンド。
インスタグラムの投稿にも、
お菓子や営業時間の案内の合間に
時々現れるレコードたち。
「音楽はもう、大好き。
ここで流しているものに
決まったジャンルは一切ないんですけど、
やっぱりテーマとしては
『美しさと穏やかさ』っていうところですかね。
その日の気分や天気、季節、時間とか。
雨だったら雨に合うものとか、
そんなので選んでます」
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-recordandman.jpg)
コーヒーが入るまで、
こんな風にレコードを聴きながら待つのも良いかも。
ごく稀に
ダンスミュージックも流れているらしく、
「その空間も体感してみたいな」
そんな風に思いながら
「いっぱいありますけど、
せっかくなんで、高知の友人のレコードを」
と紹介してくれたのは、
高知県出身のアーティスト
「AMIGO UNIVERSO」の1枚。
「大阪のレコード屋で
ジャケットを見て一目ぼれして。
そしたら高知の人だと知って、
「高知だったら直接買えるかもしれない」って、
その時は買わずに機会を狙ってたんです。
で、2年前に直接買えたんですよ」
ジャケットのイラストは、ミモザ。
「春にはばっちりですよ。これ」
このところ寒い日が続いて
すっかり冬の中に埋もれていたけれど、
あぁ。急に春が待ち遠しくなる。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-amigo_s.jpg)
ミモザのジャケットは高知県の作家・国久時子さんによるもの。
「本当に一瞬ね、
コーヒーをただ入れる
その5分か10分くらいの時間で
ベンチに腰掛けてもらって。
人によっては横にある本を広げてもらったり。
一瞬だけどね、でもちょっとだけでも、何か…
普段とは違う、何かが伝われば」
ゆったりと座って、食べて、おしゃべりをして。
そんな場所ではないけれど、
「雨と光」の空間に身を置くその時間、瞬間を
お客さんと大切に共有したい。
「こんな表現が、
こういうところが黒潮町にもあるとか、
幡多にもあるとか、
そんな表現の仕方が伝わればいいよね。
まだまだ、知ってもらわないかん。
長いお付き合いになれれば」
丁寧で、柔らかで。
「雨と光」という言葉を現す、
そんな2人の、週末だけのお店。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2023/01/ametohikari-hutari.jpg)
大城卓也さん・ゆいさん夫妻
珈琲とお菓子の店「雨と光」(黒潮町田野浦)
珈琲等のドリンクとお菓子のテイクアウト店として2021年12月にオープン。パウンドケーキやクッキーなどの焼き菓子や、季節ごとの生菓子を提供。ドリンクは、三重県のロースターから仕入れた豆を使用した珈琲に加え、庭で育てるハーブや自家製シロップなどを合わせたジュースも。営業日時、お店へのアクセスは「雨と光」Instagram(@ame__to__hikari)から。
Text Lisa Okamoto