うみべのいやし

タイミングは風にのって(前編)

今年の10月で2周年を迎えた小さなお菓子屋さん。

「タイミングだった」
いろんなことのタイミングが合い、できたのが「風とお菓子と」。

シンプルな外見。温かみのあるお店「風とお菓子と」

「気持ちいい風が吹く原っぱでお菓子を食べるような。心がウキウキわくわくするようなイメージでつけました」
ロゴからも伝わってくる。

明朝体でデザインされている「風とお菓子と」

お店を営むのは永森恵美さん(43)。
佐賀地区で生まれ育った。
中村高校卒業後は医療系の学校へ進学。
その後、医療事務の仕事に勤めていた。

「風とお菓子と」を営む永森恵美さん

「完全に趣味でした」
ケーキ作りは趣味で、仕事にしようと思っていなかった。日中は医療系の仕事をして、夜中に自宅でお菓子を作る。夜は自分の時間。その頃は、作ったお菓子を職場の方に持って行くという趣味程度のものだった。

児童書「わかったさんのおかしシリーズ」。
「本の裏についているレシピのイラストがかわいくて。作ってみたい」
そんな思いから、小学校高学年の時にお菓子作りを始めた。
初めて使ったお菓子作りの機械は、ハンドミキサー。
「奇跡的な機械。すごい武器を手に入れたと思った」
そこから楽しくて楽しくて。ハンドミキサーを手に入れたことでお菓子作りの幅が広がり、そこからまたお菓子作りにはまっていく。

お菓子作りが好きなのは本の影響だけではなかった。

祖母がお菓子作りが上手で、おはぎや柏餅を作るのをみて、「やってみたい」と思っていたそう。
「祖母にレシピを聞いても「量ってないからわからん」って言われて」
それでも見よう見まねで作っていた。

2020年の母親の誕生日。難易度が高そうと後回しにしていたショートケーキを作ることにした。youtubeを見ながらイメージトレーニングをして、いざ実践。
「できた」
時間はかかったけど意外とできた。それから家族にケーキを作るようになっていった。
友だちに勧められ、インスタグラムに作ったお菓子を投稿。

「作ってほしい」
知り合いの方からどんどん声がかかるように。

「お店やってみようかな」
そう考え始めたところ、大工の父親が「もしお店をやりたいなら、来年の2月やったら建てられるで」
タイミングが合い、建ててもらうことにした。
「自分自身も直前までやるつもりはなかった。父から「建てられるで」と言われたときには、「ちょっと待って」みたいな」
いろんなタイミングが重なり、できた「風とお菓子と」。

試作からオープンまでは1年ぐらい。
自分が気に入っているレシピに加えて、お客さん目線でレシピを試作していく。
「お菓子作りは習ってないから、本当にゼロからのスタートで」
それよりも「やりたい」と思う気持ちが前に出ていた。ショートケーキを作ってからオープンまでは、あっという間だった。

風とお菓子と」(黒潮町佐賀2417-18)
営業日は土曜日の14時から。整理券の取得は13時45分から。土曜日でも休みの日もあるため、インスタグラムで事前にチェック。ホールケーキの予約も可能。お店ではケーキだけでなく、コーヒーや焼き菓子、アクセサリーの販売もしている。

Text Aoi Hashimoto

-うみべのいやし