うみべのあそび

いつだって、海はみんなのあそび場だから(前編)

「みんな海から生まれてきた子ども」

「子どもみたいに遊ぶ。子ども心。大事だよね」

同じ世代の子どもを持つ母親同士、2020年に結成したのは「うみのこども」。

黒潮町を拠点に、自然体験や環境問題を考える機会を作ろうと、中谷みどりさん(43)と村上弓惠さん(45)が3年前に活動をスタートした。

「うみのこども」
中谷みどりさん(左)・村上弓惠さん(右)

「子どもが保育園の時に一緒だったことがきっかけでした。環境の話なんかはみどりちゃんとが一番できるし、していたよね」(村上さん)

高知市出身の村上さん、富山県出身の中谷さんは、それぞれが黒潮町へ移住し、子育てをする母親同士。2人の子どもがまだ幼かった頃、同時期に保育園へ通わせていたことがきっかけで知り合った。

「うみのこども」として一緒に活動をすることになったのは、村上さんからの声掛けだった。

「『高知県地球温暖化防止活動推進センター』の方とご縁があって、『高知県地球温暖化防止活動推進員』という制度を知った弓惠ちゃんが私を誘ってくれたんです。私も環境のお仕事、すごくしたかったし。それで『うみのこども』もできたんです」(中谷さん)

そう話すのは中谷さん。中谷さんは、高知県へ移住してくる以前、神奈川県に住み、ご主人が営むカフェ兼雑貨屋で、オーガニック野菜中心の食事を提供したり、環境に配慮した商品を売っていたという。

「自然に優しいものと食べ物を売ったり、ワークショプをしたりしていました。元々環境に興味を持ったのは、小学生の時。どんな内容だったのか詳しくは覚えていないんだけど、環境に関する授業があって。地球がこんなに壊れていっているんだっていうのを知って、それがすごい衝撃でした」(中谷さん)

一方、村上さんが環境に興味を持ったのも子どもの頃。

「私は小さい頃からがっつり、サバイバル的なキャンプを毎年家族でしていました。がっつりって言っても夏休みとかだけですけど、毎年室戸の同じ場所に。キャンプ場でも何でもないところで、流れ星を見たり、土砂降りにあって、でも次の日、うなぎが川から出てきてそれを蒲焼にしたりとか」(村上さん)

村上さんは黒潮町へ移住する以前には、同じ県内で動植物の調査やエコガイドツアーの企画などをする団体で勤めていた経験もある。

それぞれが子ども時代から環境や自然に触れ、大人になってからも自分たちが身を置く世界のことを考えてきた2人。そんな2人が黒潮町で出会い、今、子どもたちに、大人たちに、「子ども心」を忘れずに「うみべのくらし」を楽しんでほしいと考えている。

「湊川地区の奥の方の沢で、一緒にコーヒー飲んだよね。私がすごく感銘を受けた本があって、『脱プラスチックへの挑戦(堅達 京子 著)』。それを読んで奮い立った。『おおお』って。それをみどりちゃんにも回したね」(村上さん)

コーヒーを飲みながら互いの想いを語り合ったり、一緒に大豆を植えたりして自分たちの「やりたい」「こうだったらいいな」という想いを行動に移してきた2人。そんな2人だから、「うみのこども」という団体としての活動に移ったのも自然な流れだったのかもしれない。

取材の質問に対して無邪気に回答する村上さん(右)と
回顧しながら話をまとめる中谷さん(左)。
異なる性格が良いコンビのように見える2人

うみのこども
高知県地球温暖化防止活動推進員として、黒潮町を拠点に自然体験や環境について考える機会を作ろうと活動をする団体。町内に住む女性2名で構成。年4回のビーチクリーンや、学校などでの出張授業、ワークショップなどを開催。

text Lisa Okamoto

-うみべのあそび