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いちごの声を聞きながら。蜷川で思い描く「農」の暮らしを(前編)

「やっぱり、作物でも『相性』ってあると思うんですよ。ミョウガを栽培している時には、好きだけど自分たちには声が聞こえなかった。不思議なんですよね。イチゴに戻って、『こうやったらええやろうか』なんて考えながら世話をしていたら、やっぱり返ってくる。声が返ってくる」 黒潮町蜷川地区で農家として働く杉本憲司さん(46)・さち子さん(41)ご夫妻は、息子の祐樹くん(12)、浩輔くんと(9)と4人家族。イチゴ・レモン・サツマイモを栽培し、「sugimoto farm(スギモトファーム)」の名で町内外へ出荷している。 農 ...

日常に寄り添う器とおやつ(後編)

「『日常使いの器』をと思って作っています。お金がなくてもご飯茶碗一つあったら、なんか、いいですよね。やっぱり量産したものと、一つひとつ手作りのものは全然違う。『料理があっての器』と思っているので、料理の邪魔にならず、手作りの良さがみんなに少しでも伝わったらいいなと思っています」(弘晃さん) 遺跡発掘の際に地面の下から出てきた陶器を見て、「『粘土って、焼いたらこうなるんだな』っていう当たり前のこと、すごくシンプルなことなんですけど、『僕のやりたいことはこれだな』」、そう感じたと話す弘晃さん。 自分が感じたま ...

日常に寄り添う器とおやつ(前編)

「多分、みんな・・・みんなというか私もそうやったけど。どこかへ旅行に行ったり、都会に遊びに行ったり、そういうことの方が『すごく楽しい』って思い込んでるけど、『日常』が本当は一番楽しい。そのことに気づいたら、もっとなんか、なんだろう・・・。もっと楽しいことがいっぱいあるんじゃないかなって思うんです」 黒潮町・佐賀に拠点を置き、2010年から「日常屋」を営んでいるのは、清藤弘晃さん(49)と志乃さん(48)ご夫妻。弘晃さんが陶器を作り、志乃さんが焼き菓子を製造し、2本柱で生業としている。 「日常屋」という人々 ...

いつだって、海はみんなのあそび場だから(後編)

「うみのこども」としての活動は、主にビーチクリーンを年に4回ほど、また、小学校から高校を対象に環境に関する授業を行なっている。昨年度は、町が『地球温暖化対策実行計画』を策定する際に町と住民の間に立ち、住民の意見を計画に活かしてもらえるようにワークショップの開催などもした。 「『黒潮町がこんな風だったらいいな』っていう皆さんの意見が、町の温暖化対策と結びつくように。映画上映会をした後、みんながどんな未来のイメージを持っているかっていうのを出し合う時間も設けました」(村上さん) 子育て、福祉、暮らし、仕事。さ ...

いつだって、海はみんなのあそび場だから(前編)

「みんな海から生まれてきた子ども」 「子どもみたいに遊ぶ。子ども心。大事だよね」 同じ世代の子どもを持つ母親同士、2020年に結成したのは「うみのこども」。 黒潮町を拠点に、自然体験や環境問題を考える機会を作ろうと、中谷みどりさん(43)と村上弓惠さん(45)が3年前に活動をスタートした。 「子どもが保育園の時に一緒だったことがきっかけでした。環境の話なんかはみどりちゃんとが一番できるし、していたよね」(村上さん) 高知市出身の村上さん、富山県出身の中谷さんは、それぞれが黒潮町へ移住し、子育てをする母親同 ...

うみべの町職員 Vol.2 「フィールドは変わっても。昔もこれからも、ここで」

「職員募集の締切の日に応募書類を出しました。ギリギリ。『今日出さな間に合わんぞ』っていうタイミングで。とんくんの最後の推しがなかったら、そのままスルーしちょったかな」 2022年に黒潮町役場へ入庁し、現在2年目。農業振興課で働く谷一洋(かつひろ)さん(38)は、前回の記事で紹介した喜多豊浩さん(とんくん)の昔からの後輩にあたる。柔らかで人当たりが心地よい人だ。 佐賀で生まれ育った谷さんは、宿毛工業高校を卒業後、JAに就職した。「地元にいたい」、そんな思いからだった。 「高校は土木科におったがですけど、体力 ...

うみべの町職員 Vol.1 「いつも、頭にはふるさとの音、景色」

「港町で育っちょうに、自分ら全然釣りとかせんし、漁師には全然憧れんかった。浜でも遊ぶけど、どちらかと言えば泳ぐのも川のほうが多かった。小さい時は、『漁師』っていうものをええようには思ってなかった」 「元カツオ漁師」という経歴を持つ喜多豊浩さん(40)は、28歳の時に黒潮町役場職員となり、現在13年目。佐賀支所にある建設課水道係で勤務している。 生まれ育った場所は、漁師町・佐賀の明神地区。カツオの一本釣りが有名な町で、父や親戚、近所のおんちゃんも漁師だらけという環境で暮らした。だからこそ、近くにあるからこそ ...

「34」の数字とともに日常へ寄り添い支えていく(後編)

-前編はこちらからー 2014年3月11日に設立し、いよいよスタートラインに立った缶詰製作所。それから人を雇用し、フードプロデューサーのスタッフにも1カ月間ほど住み込みで通ってもらい、同年夏に商品を発売することができた。その最初の商品は、9年が経つ今でも販売されているという。 ただ、やはり最初は苦しい時期だったという。 「もう、全然でした。設立後には役場の別の職員も配属されて、一緒にやっていたんですけど、営業力もないし、ノウハウもないしという中で。本当に手探りでやっていました」 それでも、現在は4期連続黒 ...

「34」の数字とともに日常へ寄り添い支えていく(前編)

11月5日は「世界津波の日」。 過去の災害の教訓を伝え、防災意識の向上をめざす目的で平成27年に制定され、全国共通の「世界津波の日」があることで、災害について考え直すきっかけを人々に与えている。 うみべの町・黒潮町にある缶詰製作所は、一年に一度の「日」ではないが、主張はせずとも、過去の災害の記憶・記録を風化させず、防災に対する意識を思い出させてくれる存在。 「どうしても人間なので、風化していくことはある。啓発活動や災害対策など、活動を続けていくのは本当に難しいことで。そうした時に、『このマークってどういう ...

うみべの縫製工場の過去と未来(後編)

50年以上の歴史を持つ(有)じぃんず工房大方。 大手ジーンズメーカーの工場としてスタートし、その後の独立や自社ブランドの立ち上げなど、さまざまな変遷を経て、今の時代を駆け抜けている。 自社ブランド「isa」は、「環境に配慮した」「サステナブル」なんて言葉が毎日のように聞かれる今日の思想の先駆けとも言えるようなアイデアを組み込み、始まったブランドだった。 「元々は、受注生産をしている中で、生地が余ったりするもんで、それを何とか商品にしたいなということで始めたがです。バッグとかエプロンとか、パンツではない小物 ...