うみべのあそび

心躍るうみべの冒険へ(前編)

ジブリ映画のやさしいお父さん役で出てきそうな
くりっとした瞳に口角が上がった朗らかな笑顔の
喜多道臣さん(68)。

「二ヒッ」と吹き出しを添えたくなるような
愛らしいキャラクターで
シーカヤックの案内をしてくれる。

SEA KAYAK 9640代表・喜多道臣さん。
タンデムシートで海上を案内してくれた。

喜多さんが営む「SEA KAYAK 9640」は
海の透明度とこじんまりとした浜辺が
美しく愛らしい「塩屋の浜」がフィールド。

「塩屋の浜」とその向こうに見える幡多十景「鹿島」
「SEA KAYAK 9640」は青色の錨が目印

黒潮町佐賀地域にある
塩屋公園の前に広がる海で、
海水浴場ではないけれど、
貝殻を探す人、散歩をする人、
夏には磯遊びを楽しみに
子どもたちもやって来る
静かな浜辺。

ここで喜多さんが
シーカヤックを始めたのは2016年。

黒潮町有井川地区で生まれた喜多さんは、
父親が中学校の教師をしていたこともあり
小中学校の頃は幡多地域を転々とする。

それでも、小学校2年生までは佐賀、
それから中学校を卒業するまでは大月町と
海の近くで少年時代を過ごした。

その後、高校を卒業し、
カツオ船の漁師として1年間勤めた後、
自動車の整備士をめざして整備学校へ。

高知市内で整備士の仕事を数年してから
22歳で大阪へ行き、
そこで家族もでき、
60歳までの長い間、地元を離れて過ごした。

そんな喜多さんが、
うみべの町に戻るきっかけ。

「大阪は家の家賃も高かったし、
自分は家の長男だったから。
帰ってこないかんな~と思って」

帰ってきて2年目。
四万十市のカヌー館へ1シーズン、
アルバイトに行く。

カヌー館で働いて
「面白いな」と思ったことから
「地元の海でもやってみたい」、
そう思うように。

それに、シーカヤックは
許可も免許も無しで始められる。
手軽さもあった。

でも、何よりの理由は
「自分が楽しめるからね」。
笑いながら話す喜多さんのチャーミングなこと。

ツアーを提供する喜多さん自身が楽しんでいることが
お客さんも楽しめる理由かもしれない。

喜多さんがシーカヤックを始めた理由には
アウトドアが好きということも
関係している。

自然に囲まれた町で育ったから
釣りやキャンプも好きで、
大阪に住んでいた頃もバス釣りを楽しんだり、
日本海へ家族とキャンプに出掛けたり。

その中でもやっぱり好きなのは
シーカヤックで釣りに行くこと。

1人の時もあれば、釣り仲間と行く時もあって、
カヤックに乗り込み、
鹿島を超えた沖まで漕いでいく。
釣れるのは、アジやガシラ、アカハタ、マエソ…

海の上での案内は喜多さんの仕事だけど、
普段から海の上が喜多さんの遊び場。

「町外や県外からもお客さんが来て、
テーブルサンゴの紹介をしたりするけど
僕にとってはあたりまえやからなあ」

カヤックの下には綺麗な魚やテーブルサンゴが見られる

小さな頃から
目の前に広がる海に飛び込み、潜り、
魚や貝をとっていた。

喜多さんが子どもの頃には
それを「シュノーケリング」
なんて言ったりする表現もなく、
お客さんに紹介するテーブルサンゴだって
喜多さんが見る世界の中にいつだってあった。

うみべのくらしは、あたりまえの暮らし。

日々の暮らしの尊さをかみしめて、実感して、
「特別なんだな」と感じることも大切だけど、
素敵な暮らしを「あたりまえ」と思えることも
とても尊い。

さぁ、ちょっと遊びに行こうかね

SEA KAYAK 9640」(黒潮町佐賀塩屋公園前)
塩屋の浜から出発するシーカヤックツアーの体験を提供。所要時間約2時間半で、お客さんの体力やコンディションにあわせながら、塩屋の浜や佐賀港、幡多十景「鹿島」の周辺をシーカヤックで案内してもらうことができる。基本体験料5,000円、3日前までに電話または町公式HP内に掲載のQRコードより要予約。(7~8月は当日予約も可能な場合あり)

text Lisa Okamoto

-うみべのあそび