うみべのごはん

ノスタルジーな夜へ出かけよう(前編)

カラン、コロン。

古くからある喫茶店に入った時のような
懐かしさのある音を聞きたくて、
ちょっと強めに扉を揺らして入店。

扉を開けると懐かしく涼し気な音が聞こえる

日本の昭和の世界のような、
でも海外の匂いも漂っているような、
そんな空気感を生み出す数々のインテリアと
あたたかなオレンジの照明に包まれて
店内はとっても朗らかな雰囲気。

2019年にこの町で「ノスタル」を開業した
店主の近藤拓さん。

数々の可愛らしい雑貨や装飾、
ジャンルにとらわれないメニューに
「きっとおもしろい人なんだろうな」
そう思っていたのは
やっぱり当たっている。

さまざまなインテリアや暖色の照明で
あたたかさを感じられる店内
カウンターで仕込みをする店主の近藤拓さん

実は、いまあるノスタルには前身がある。

四万十市出身の近藤さんは、
高校卒業後、大阪へ料理の修行に出る。

そして修行後、
今から14年前に大阪で開業したのが
今の「ノスタル」の前身「ノスタル本舗」。

今のノスタルも
70種類ほどのメニューがあるけれど、
この頃はさらに多く
130種類ほどあったそう。

「今のノスタルより
メニューもいっぱいあったね。
和食中心だったけど、
寿司、うどん、ジビエ、
韓国料理、パスタ、創作…。
うん、多国籍料理かな」

さらにおもしろいのは、
2階には駄菓子屋さんがあったということ。

「2階は座敷になっていて、
駄菓子コーナーもやってたんです。
昼間には開けてなくて、夜の居酒屋と一緒に。
家族連れも多かったので、
子どもは喜んでくれてたね」

「こだわりは、豊富なメニュー。
大阪時代のものがベースになってるけど、
テレビを見てて
料理番組なんかがやっていたら
つい見てしまうし、
SNSで都会のお店の料理を見たり。
新しい情報も取り入れるようにしてるかな。
あとはバックパッカーで海外へも行ってるので、
その時のヒントがあったり」

型にとらわれず、今も創作的な料理を提供する。

ノスタル本舗時代のメニュー。
130種類ほどの豊富なラインナップ。
こちらは現在のノスタルのメニュー。
ほかにも黒板や壁にもおすすめが書かれている。

多様なメニューを提供できるのは、
近藤さん自身が「好き嫌いがない」
ということも影響しているそう。

「料理人として、好き嫌いがあるのは不利。
でも、僕は好き嫌いがなくて
どこの国に行っても出されたものは
だいたい食べる。
「嫌いや」と決めつけてしまうと
そこから料理の幅が広がらなくなるよね」

「チキンパコラ」に
「カシューナッツのスパイス天ぷら」。
田舎のうみべの町では
あんまり出会わないような料理だって
たくさんあるのがノスタルの楽しいところ。

でも、
それは近藤さんの「好き嫌いがない」だけで
できあがっているのではなくて…。

「カシューナッツのスパイス天ぷら」
ビールが進む味。
「生モッツァレラチーズとトマトのイタリアンサラダ」
夏はさっぱりとした味が気持ちいい。
たくさんメニューがあって悩めるのも楽しみのひとつ

-後編に続く-

ノスタル」(黒潮町入野2542-1)
2019年開業。多国籍創作居酒屋。ピザや中華、和食など多様な食事メニューに加え、ウイスキーやカクテルなど、アルコール類も豊富なラインナップが売り。店内の装飾にはアンティークやビンテージものも多く、インテリアや雑貨好きの心をくすぐる。営業は午後5時~午後10時30分(木曜定休)。

text Lisa Okamoto

-うみべのごはん