「わぁ。おしゃれですね」
そう話せば、
聞こえてくるのはいつも
「Atelier tomato」の名前。
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2022/12/tomato-3men_s.jpg)
おしゃれな空間は、現在もリフォーム進行中だそう。
今西さんが自身の設計で大切にしているのは
「新しくある」ということ。
「建築って、歴史とかを踏まえたうえで、
でも新しくないと。
今まで見たことのなかったものを作りたい
っていう願望はすごくある」
住宅メーカーが作る
同じような外観、内観の住宅。
そこにももちろん良さはある。
でも、今西さんの設計はそうではない。
「お客さん自体で全然性格も違うし、
場所でも違う。
それぞれ十人十色なんで、
特徴をちゃんと聞いて、
しかもそれが
新しいものとしてできあがるっていう」
お客さんによって、
作りたいものやイメージするものは違う。
だから、要望はちゃんと聞く。
でも、お客さんがイメージした100のものを
今西さんはそのまま形にして
提案することはない。
それは、常に新しくありたいから。
「100言われたら130のものを出す。
家を作るって
やっぱり一生に一回とかなんで。
想像以上のものを作りたいし、
やっぱり感動させたいし」
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「新しさを大切にしたい」と話す今西さん
今西さんの事務所は全部で3人。
インターンをきっかけに働くことを決めた
高知市出身の青木勇樹さん、
中・高の同級生である小島章宏さんとともに
図面を書いたり、
模型や3Dパースと言われる立体的な絵を
作ったりする。
ほかにも、自治体への許可申請、
現場監理で週に1回程度足を運び
図面通りに進んでいるか確認をし
修正も入れながら
建物ができあがっていくという。
「最初の方向性を決めるところは自分がやって、
それを図面とか模型とかで
みんなで形にしていって。
で、模型って何回も作るんですよ。
「これでいこう」って納得がいくまで」
設計から建物ができるまでには
思っている以上に時間がかかるようで、
設計に2~3カ月、図面に3~4カ月、
建物ができるまでにさらに4カ月。
気づけば1年。
これが、複合施設などになれば
完成までに2年半ほどかかることも。
「関わる期間が長い分、
自分の本当に作りたいものを作りたい。
「これでいっか」っていうので
長期間はしんどいんで。
「これでいこう」っていう思いが強くないと
そんなにいいものはできない。
だから、アイデアが決まる瞬間が一番大事。
これができるんだっていうそのわくわく感」
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いの町の住宅の模型
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2022/12/tomato-mokei2_s.jpg)
手掛けている
お客さんからの依頼に対して
今西さんらしさは割と出すほうだというけれど、
でも、それが身勝手でなく
相手に寄り添っていることを
言葉の節々に感じる。
彼がやりがいを感じる場面もそう。
アイデアが決まった瞬間。
クライアントが喜んでくれる瞬間。
自分が設計した建物で
誰かがご飯を食べたり、
楽しそうにしているのを見る瞬間。
「そういう瞬間は、すごい嬉しいですね。
やってよかったなあって思う」
ペンを持ちながら、スケッチを描きながら、
クライアントの声と
自分のイメージのかけらに向き合い、
悶々と考え、
“建築の神様”が降りてきて
「あ、これだ」とちょっとどきっとする。
その時のアイデアが形となり、
人に喜んでもらえる。
「建築って、屋根があって、基礎があって、
結構形式が決まってるんですけど、
そこから自由になりたい
みたいな思いがありますね」
場所によって、人によって、違いがある。
そこで、個性を出しながらやっていきたい。
いつか世界で、いろんな国で、
壁なんて越えて、自由に。
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青木勇樹さん(左)、今西伴仁さん(中央)、小島章宏さん(左)
「Atelier tomato」(黒潮町上川口731-12)
2014年に今西伴仁さんが開業したデザイン設計事務所。海が見える住宅街に位置し、スタッフ2名とともに店舗や住宅等、多岐にわたる設計を手掛ける。過去には、ネスト・ウエストガーデン土佐の客室リニューアルやとりうみ商店、さが谷三里マーケット、浮津避難集会所などの設計を手掛け、隣町・四万十市に位置する「Shimanto+Terraceはれのば」は数多くの賞を受賞。
過去のデザイン設計
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2022/12/tomato-nest_s.jpg)
客室リニューアル
![](https://umibenokurashi.jp/wp-content/uploads/2022/12/tomato-toriumi_s.jpg)
古民家のリフォーム
Text Lisa Okamoto