うみべのあそび

誠実に、真心込めて支えていく(後編)

-前編はこちらから-

2021年10月、役員の改選期に合わせ、
父・修さんの後を継ぎ、
代表取締役となった山本浩司さん。

「自分も10年会社で働いてきて、
ずっと現場監督をやるわけにも行かないし、
自分の中では「どこかで」と思ってたんですよ。

これは自分の中の考えですけど。
その時の社長も副社長もバリバリ活躍されてて、
その人らがやられゆう間は
お任せするっていうのも
ありやったかもしれないけど、
でも、どうせ変わるやったら
すごく元気なうちに僕が代表になった方が
バックアップもしてくれるし。
早い方がいいなと、3年くらい前に思って」

就任のタイミングは、父から、浩司さんから、
どちらからということも無かったけれど
お互いの間で何となくその時期
というものがあった。

現在は、
できるだけ報告・連絡・相談の
コミュニケーションが取れるようにと
同じ部屋で仕事をしているという。

山本建設は現在、
窪川佐賀道路の工事や
室戸市にある室津港の防波堤工事など、
町内外で国や県から受託する
公共工事を行なっている。

社是には、
「真心と技術で社会とお付き合い」
という言葉がある。

「真心とか、誠実さというのは
山本建設の特徴って言ったらあれですけど、
あると思います。
この先も、
社員がそうやって取り組んでくれたらいいな
って言うのはありますね」

窪川佐賀道路小谷口橋の工事現場を監督する
武政秋吉さん(65)、平田雅史さん(49)に
お話を聞くと

「大変なところはあるけど、
最近は週休2日だし、祭日も休みだったりと、
昔と比べて働きやすくなった。
作業員とコミュニケーションをとりながら
事故のないように努めています」

と話してくれた。

社員も社長と同じように、
真心を込めて現場に向かっている。

窪川佐賀道路工事の現場監督を務める武政秋吉さん(左)と平田雅史さん(右)
現場の作業が想定通り進んでいるかをチェックする

武政さんや平田さんがお話するように
建設業もひと昔前のイメージと比べると
だいぶ変わってきているそうで。

「完全に屋内での仕事に比べたら
建設業ってどうしても
肉体労働がゼロにはならないし、
外で働くことも避けられないので、
夏は暑いし冬は寒い。

でも、今は空調が効く服を着ていたりとか
現場の休憩所にはクーラーを設置していたりとか
ひと昔前のイメージと比べたら
全然良くなってると思います。

技術の進歩で、昔は人の手でやっていたことも
ドローンでやったり、
ICT建機っていうのがあるので楽になってたり」

人間が行っていた作業を
機械が代わりにやってくれ、
重い荷物を持つことや
険しい山道をかき分けていかなくても良い場面も
出てきているそうで、
今では女性も働きやすいという側面も
出てきている。

現場監督として働く女性社員
(写真:山本建設(株)提供)

女性も含め、
浩司さんは積極的に
新しい社員を雇用していきたい。

「現場で必要なものは積極的に買っていったり、
ヘルメットを涼しい通気性のあるものにしたり、
制服を変えてみたりとか。
高校に出向いて会社説明をしたりもします。
会社の環境が良くなったり、人が来てくれるなら
やれることはやっていこうと思っています」

型枠の専門業者に発注し、道路の型枠を作ってもらう

現在、山本建設(株)の社員の
平均年齢は51歳。
若い世代の雇用やいつかは外国人社員の雇用も
無くはないかもしれないと話す。

「外国人の雇用については
今は現実的には動いてないですけど、
例えばの話、
そうやって新しい人たちが入って来て、
その中で、今いる人たちも活躍してくれたら
そっちの方がきっとおもしろいと思うんですよ。
で、その中でも
「真心と技術で社会とお付き合い」っていう
精神は忘れずに」

今在籍している社員のことも大切に、
でも、今よりもさらに環境が良くなるのであれば
新しいことにも心を閉ざさずに考える。

「発注者さんとか住民の方から
ハードルの高い要望が時々あったりして、
対応が難しいこともあるんですけど、
可能な限り対応していきたいですね。
多分、そうやって今まで働いてくれてる人たちが
ずっとやってきてくれてるんですよ。
僕が言ったわけじゃなくて」

そう思えるのは、
これまで自分が地元を離れている間に
家業を守ってきてくれた社員への思いや
自身が携わるようになって
見えてきたことからなのかもしれない。

浩司さんも現場作業員時代にお世話になったベテランの宮地末彦さん

「黒潮町は好きですか?」という問いに対して、

「好きも嫌いもないです。
結局「人」なんだろうから。
都会にしかないものもあるかもしれないけど、
ここで楽しく暮らせないかって言われたら、
そうではない。

人が好きやったら、
どこで暮らしても楽しいがやろうし。
海辺で豊かに暮らせてるんでしょうね(笑)」

うみべのくらしの取材に絡め、
最後はそう締めてくれる浩司さん。
恥ずかしがりながら、
でもいつも冗談を言いながら。

地元に帰り、家業に加わって13年。

地域の人や社員に支えられながら、
佐賀という地域の建設業を支える立場になった。

山本建設株式会社」(黒潮町佐賀2988番地)
黒潮町佐賀地域に拠点を置く総合建設企業。現在の山本浩司代表取締役の祖父である山本正好初代社長が1951年に創業。一般土木工事、海洋土木工事、大型建築工事など、国や県から受託する公共工事をメインに行う。

Text Lisa Okamoto

-うみべのあそび