平成27年1月に「集落活動センター佐賀北部」(以下、「佐賀北部」)が設立された。拠点は黒潮町拳ノ川地区にある。
「集落活動センターを立ち上げる前から、北部活性化推進協議会いうのがあるがですよ」
少子高齢化や人口減少により、地区の疲弊が進む状況から、地域を活性化しようと「黒潮町佐賀北部活性化推進協議会」の活動が始まった。これが現在の佐賀北部の前身である。
協議会の会長を努め、現在も佐賀北部の代表を務めるのは、大石正幸さん(82)。

左:藤崎毅さん
「縫製工場が集落活動センターの近くにあってね。そこに僕らが卒業した中学校があったんですよ」
佐賀北部は、市野瀬、佐賀橘川、拳ノ川、拳ノ川団地、川奥、荷稲、小黒ノ川、中ノ川、鈴の計9地区をまとめた総称。大石さんも、そのうちのひとつ、荷稲地区で生まれ育ち、地元の中学校を卒業し、高校卒業後もふるさとに残った。
その後佐賀地区にある建設会社で働き、昭和48年に消防署に採用が決まる。
平成20年に協議会が設立され、仕事の傍ら、会長としての活動が始まる。
それに加えて、今は荷稲地区の区長でもある。
「それと、スクールガード(※)もやりよって、子どもらを見守りよう」
地域全体を見守る。
現在、集落活動センター佐賀北部には、3つの部会があり、それぞれが活動を行っている。
「柚子部会」「若山楮(こうぞ)部会」「食部会」。
「柚子と楮はね、集落活動センターができる7~8年前に植える計画をしていてね。なぜかというと、遊休農地を解消しようという事業があったんですよ。それで山の間にある田んぼを柚子と楮の畑に戻して、植えたんです。そうこうしよったら、今やりよる食部会の人らが、『私らもなんかせないかんね。弁当作りをしようか』いうて、食部会の活動も始まった」
当初は収入がなかったため、みんながボランティアとして活動をしていた。
3年が経過した頃、柚子が収穫できるようになり、楮の販売先も決まったりと、少しずつ活動が広がっていった。
柚子は10月末頃から採れ始め、11月には販売を行う。そうして柚子が終われば、楮の忙しい時期がくる。
「柚子の収穫が終わったら今度は楮の刈り取りから始まって、次に蒸し剥ぎ」
蒸し剥ぎは、あったかふれあいセンター(以下、あったか)に参加している方と一緒に作業をしてもらうことがある。
「昔はね、大概の家に窯があったきね。ちょうど農閑期になるときやき、忙しい稲刈りが終わった後にその短期作物で楮をする。このあたりは山にいっぱい楮があるがやけん」
12月頃にできる楮は農業が落ち着いた時期とちょうど重なることで、楮を育てていた人も多かった。
活動を始めたばかりの頃は10名ほどだった「食部会」。
現在は5名で活動をしている。
「木曜日と金曜日にここで活動するあったかさんに食事の提供をしようがですよ」
お弁当は注文で頼むことができ、同じ場所に拠点を構えるあったかで活動する従業員を含め、参加者に食事を提供している。
「スポーツツーリズムってあるやん。それにも協力しちょうけん、サッカーの合宿や試合に来た子どもらにお弁当を、多い時には200個くらい作りよう」
スポーツで合宿に来た人たちやイベントへの参加者にもお弁当を作って提供している。
現在は食部会のメンバーが少なくなってきているが、それでも多くの食事を提供している。
今年度で8周年を迎えた「さが谷(たに)三里(さんり)マーケット」も食部会が担当している。

毎週木曜日と金曜日に開催していて、地域で採れた野菜や惣菜などを販売している。
「今日の野菜は使うてしもうたがよ」
撮影に伺った日に野菜が置かれていなかったのを見て、食部会の方が言う。
お弁当を作るのに、地元の野菜を使っているため、マーケットに出品された新鮮な野菜も使用する。
普段お弁当はマーケットには置かないが、この日はお弁当も並んでいた。


「お遍路さんが前の看板を見て、来てくれたりもするがですよ。その時には、予定していたお弁当に入りきらなかったおかずを詰めてお弁当にして渡すんですよ」
マーケットでは、お弁当にも入っているおかずを単品で販売している。
そのおかずを1つにまとめて、お遍路さんなど、立ち寄ってくれた方にお弁当にして販売することもあるという。
お弁当やお惣菜以外にも地元で作られた豆腐や、こんにゃく、干し大根などたくさんの商品がそろっている。食べ物以外にも手作りされたかごや、マスクなども販売している。
建物自体が少し分かりづらい場所にあるため、集客はそれほどまでに多くはない。
しかし、地元の方や、看板を見つけて寄ってくれる方もいる。

※スクールガード……子どもの通学路等の安全を見守るボランティア活動。
集落活動センター佐賀北部
旧拳ノ川保育所を拠点に、平成27年に集落活動センター佐賀北部が設立。「食部会」、「柚子部会」、「若山楮部会」の三つの部会で活動を行っている。年に1度行われている盆踊りと花火大会、「居酒屋こぶし」も新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされていたが、令和6年・7年から復活。
「さが谷三里マーケット」は毎週木曜日と金曜日に開催。その他お弁当の注文も受け付けている。
text Aoi Hashimoto