大阪での経験と小さな町に寄り添う変化とともに 無人駅のケーキ屋さん(後編)

「ここでお店を始めたあの当時に来てくれていた高校生たちが、今は大人になって子どもを連れて遊びに来てくれたり、県外から帰省の度に寄ってくれたりする。そういう時は嬉しいなぁ」 山本さんは開業当初の頃を振り返りながらそう笑みを浮かべる。 両親の出身地ではあったものの、ほとんど見知らぬ土地でケーキ屋を始めた山本さん。大阪など関西圏での経験は多く積んでいたものの、「あの頃」のようにはいかないこともたくさんあった。 「ちょっとおごりがあったかもしれん。大阪時代、自分で考えて作ったシュークリームで店には行列ができて、テ ...

大阪での経験と小さな町に寄り添う変化とともに 無人駅のケーキ屋さん(前編)

うみべの町の小さな無人駅でケーキ屋を営むのは、山本猛志さん(59)。 「ケーキの職人やまもと」と看板を出し、この町でもう19年、生菓子や焼き菓子を作り続けている。地元の人はもちろん、町外、県外にもファンが根付いてきた。 奈良県出身の山本さん。高校までを地元・吉野で過ごし、高校卒業後は大阪へ出て料理の専門学校へ通う。高校卒業までの間、ギリギリまで進路は悩んでいた。 「高校の時、僕は彫刻家になりたかったんですよ。でも、彫刻じゃ十分な稼ぎは得られないかもしれん。そんな時に出席した結婚式で、砂糖で作られたウェディ ...

暮らしにある浜(後編)

「今年で7年目やないかな」浜清掃と同時に区長としても今年で7年目を迎えた。年度最初の会合で次の区長を誰にしようかという話し合いの際に、近所に住む漁師の方達からの推薦で区長になった。さらに2017年3月、浜町地区に津波避難タワーが建設され、「防災かかりがま士の会」が発足された。 「かかりがましい」とは佐賀地域にある方言で、「必要以上に世話焼き」という意味がある。防災には人と「かかりがましい」くらいの繋がりが必要とのことからできた会。発足した当時は浜町地区の有志4名で構成されていたが、今は3名で活動を行ってい ...

暮らしにある浜(前編)

佐賀地区の浜町にあるきれいな砂浜「塩屋の浜」。午前5時30分。朝から浜を清掃する2人の姿。何時からいるのかと尋ねれば、「今日は4時半くらいかな」すでに一仕事を終え、待ってくれていたのは河内香さん(73)。 清掃をするようになったのは17年間清掃を続ける門脇武義さん(79)の声かけから始まる。 「手伝ってくれ」 浜には大きい流木が流れついていた。大きいものが流れて来た時には1人で動かせないとのことで手伝ってほしいと、門脇さんから散歩中の河内さんに声がかかる。毎朝散歩をしていた河内さん。「それなら一緒に清掃を ...

波乗りきっかけに移住して20年。気さくな2人が作るイチゴの話(後編)

そんな大林夫妻は、毎年春、入学式が終わった頃に小学生を受け入れ、イチゴ狩りの体験にも協力しているという。 「一般のイチゴ狩りは受け入れてません。子どもが通っていた小学校は受け入れしています。新入生と上級生が『同じ釜の飯を〜』じゃないけど、みんなで同じものを食べたら仲良くなれるかなと思って」(理) 入学式が終わり、遠足を間近に控える4月。子どもたちが少しでも環境に慣れ、仲良くなれるきっかけになるようにという理恵さんの思いが伝わってくる。 サーフィンをきっかけに高知への移住を決め、農家となるため黒潮町へやって ...

波乗りきっかけに移住して20年。気さくな2人が作るイチゴの話(前編)

「元々サーフィンが好きで、移住前は神戸から毎週末、高知県へ通っていました」 そう話すのは、黒潮町でイチゴとタバコを栽培する農家・大林博さん(56)・理恵さん(54)夫妻。現在21歳と15歳、2人のお子さんを持つ大林さんご夫妻は、2001年、黒潮町へ移り住んできた。 少し控えめな博さん(大阪府出身)とハキハキと話す理恵さん(高知県安芸市出身)は、元々お互いが波乗り好きという共通点で知り合った。博さんはサーフィン、理恵さんはボディーボードを楽しんでおり、移住前には、当時住んでいた神戸市から毎週末、高知や徳島な ...

館長を愛し、館長から学ぶ「人と自然のつきあい方」(後編)

大迫さんが10年携わってきた「大方ホエールウォッチング」は今、変遷の時を迎えている。そのきっかけとなったのが、「クジラのうんこプロジェクト」。 全ては偶然に始まった。 大迫さんが携わり始めて10年、大方ホエールウォッチングのほとんどが「大迫さんがいないければ回らないのでは」というほど、彼女のポジションは重要になっていた。それと同時に、新しいことに挑戦するほどの余裕も無く日々が過ぎていた。そこに、新たな体制で彼女の仲間として彼女を支える砂浜美術館の職員たちがいる。 「2023年、もうめちゃくちゃ忙しくて、ほ ...

館長を愛し、館長から学ぶ「人と自然のつきあい方」(前編)

私たちの町には、「クジラが館長だ」という美術館がある。「クジラが館長?はて、どういうことだろう?」と思うのが一般的な流れだと思う。 黒潮町では、1989年から漁師によるホエールウォッチングがスタートし、2003年からはNPO砂浜美術館がこのウォッチング事業を運営してきた。「クジラに逢える町」と謳い、美しい砂浜を美術館に見立てた「砂浜美術館」の館長には、人ではなくクジラを任命した。美術館の作品は、潮風でできる砂紋や沖を泳ぐウミガメ、浜を歩くチドリという美術館ならではの発想というわけだ。 現在、同館の職員とし ...

「釣りの楽園」は人生で一番楽しい暮らし(後編)

釣りをするのにちょうど良い拠点となりそうだと思った、それが高知・黒潮町だった。 そう思った矢先、世はコロナ禍となり、「黒潮町へ空き家の見学に行きたい」と筑波さんが思ってから実際に見学ができるようになるまでに約1年。ようやく初めて黒潮町へ訪れたのが2020年、下道をバイクで26時間かけ、東北から南国へとたどり着いた。 「初めてきた時、『やっぱり楽園に来たな』っていう感じがありました。海沿いをパァーッと走るじゃないですか。宮城や東北には、こういう景色ってないんですよ。いかにも魚が釣れそうな雰囲気がある。『良い ...

今日のうみ(2023年5月8日)

この町のうみべが一年で1番賑わう5月。 たくさんの人が来てくれた「Tシャツアート展」だったけど、 GW後半は雨に降られる日が多かった。 GW明けの月曜日、 雨も上がる予報で「もしかしたら・・・」と浜へ出かけるときらきらした朝日にサーファーさん、そして、まだ片付けられないでいてくれたTシャツたち。 とっても美しい景色に出会えました。 今年もありがとう、Tシャツアート展。

今日のうみ(2023年2月2日)

あっという間に2月。 寒い日が続いていたけど、今日はいつもよりちょっとだけあたたかいような気がして、なんとなく浜辺へおりたくなった。 冬の太陽に照らされて波の表面はきらきら輝きを繰り返す。 流れ着いた貝殻に視線を落とすと白くてまあるい何かがある。 「あ、ハスノハカシパン」 「これも砂浜美術館の作品」と、いつか聞いていた噂のやつ。 初めて見つけられて嬉しくて、まだあるかな?なんてうす~い期待で探していたら6つも見つかった。 職場の人にもおすそわけ。今日は何かいいことあるかな。 *うみべのくらしInstagr ...

今日のうみ(2023年1月25日)

寒い日が続いている。 大寒波の影響でうみべの町にも雪が降る。 翌朝8時半。浜辺へ出かけると、まだ雪が残っている。 ふかふか、足が雪に埋もれるというよりもてくてく、ちょっと凍ったおかげで歩きやすい今日の砂浜。 寒い日がもう少し続きそう。あったかくして、うみべの冬をたのしもう。

今日のうみ(2022年12月15日)

凪。 今日のうみは、波が全く立ってなくて穏やか。波音もしなくて、まさに「凪」っていう感じ。 波がしなやかにゆらゆら揺れていく様子は、見ているだけで心も穏やかに。心の中もフラットになる。 波がさらって綺麗になった砂浜には貝殻がたくさん。 あ、これ、シーカヤックの喜多さんに夏に教えてもらった「バンビ」かも! 見て見て、シーグラス!光に透かしたらもっと綺麗。こっちの緑のも、おひさまと相性いいよ。 今までこんなに気持ちのいい冬のお昼のうみべはあったかな?そんな風に思ってしまう、絶好のうみべ日和。 うみべのくらしの ...

今日のうみ(2022年11月24日)

12月に入り、一気に寒さが増すうみべのまち。 11月まではできたのになぁ。日課の朝日ヨガも、寒すぎて停滞中。 私のヨガの痕跡、のすぐ前にカニさんが穴を掘った痕跡 ヒトとカニの朝活。おはよう、みんな。

今日のうみ(2022年11月8日)

442年振りの皆既月食と惑星食のコラボレーションが見られるというこの日。 暗い松原の中をどきどきしながら抜け、浜辺へと一歩。 月食前の17時過ぎ、まだ高度が低く欠けてもいない綺麗なまんまるお月さまを眺め、海には月の光の道がゆらゆら。 波音が、ざあーっ、ざあーっと聞こえて、うみべの月見らしさを体感する。 よしっ。 めいっぱい癒されたのと、やっぱり夜の浜辺は少し心細くて、月食を撮影しに行こうと浜辺をあとにする。 メインはこれからだけど、この町で見る月夜は、いつだって、美しい。 「322年後」は現実的じゃないけ ...

今日のうみ(2022年10月22日)

いつものうみべからちょっと離れて。今日は伊田の港から出発。 ランニング•••のつもりが、天気が良くって海がとっても綺麗。 止まっては写真を撮り、止まっては動画を撮り、”気合いを入れて”の時間にはならなかったけど、ため息が出るくらい、素敵なキラキラ時間だったな。 ため息?息切れ?あれ、どっちだろう•••

今日のうみ(2022年10月12日)

17時40分仕事を終えてビーチに直行。日没は少し早くなったけど、まだまだ海に入れます。いい波を。

今日のうみ(2022年10月2日)

浜ヨガの朝。うみべの町のヨガスタジオは、潮風が心地良い。 潮が引く間に現れるくっきりとした朝焼けの水鏡も、波で揺れるオレンジ色も、とっても清々しい気持ち。 浜ヨガが終われば浜コーヒーでひと息。気持ちの良い日曜日の朝。

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うみべのくらしびと

その人は飽きる事なく砂浜を歩いていました。その人は岬の雲の流れで天気を当てる事ができました。その人は家族の食べる分だけを海から釣り上げていました。その人は潮風を楽しむようにいつも海を眺めていました。その人が歩いた後にゴミは無くなりました。その人は時々はボードを抱えていました。その人のコーヒーは群を抜いて美味しいと仲間内で話題になりました。その人はとてもゆっくりと丁寧に暮らしていました。その人は料理も上手に作り友人をもてなしていました。贅沢ではないけれど地元の魚や野菜を大事にして楽しんでいました。彼の口ぐせ ...

うみべのくらし、巡る

風の吹く方へ潮の香りのする方へ 波が来て帰るように僕らは浜を西に歩く今日のいい思い出が陽と一緒に沈まないように少し急ぎ足で歩く やがて時は僕らを超えオレンジの光線を残し深い深い藍の海に溶けるそれはまた明日もいい一日の約束の儀式 風の吹く方へ潮の香りのする方へ

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